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2023.09.07 ジャニーズ事務所の性加害報道を観て思ったこと
今日のお昼2時からのジャニーズ事務所記者会見、興味深くテレビ観てました。しかし、途中からジャニーズ事務所が今後どうするのかよりも、報道陣の質問の方が気になり出しました。喜多川氏の性加害を知りながら長らく放置してきた責任を経営陣に問い質していましたが、マスコミもこの件ではジャニーズ事務所に忖度してかずっとだんまりでした。ペンは剣よりも強しと言いますが、ジャニーズ事務所には弱かった? 文春や海外の BBCの報道があっても検証するような報道はなく、本日の記者会見で初めて堰を切って質問責めでした。マスコミも以前から薄々?気付いていたでしょうにね。会見途中でチャンネルを切り替えてしまいました。
この有様で思い出したことがあります。その昔(2006年)、奈良県大淀病院でお産の最中だった妊婦さんが急変し、国循セに搬送され帝王切開で男児を出産されたが、その妊婦さんは助からなかったという悲しい出来事がありました。毎日新聞はその大淀病院から国循セまで搬送されるまでの経緯を「病院がたらい廻し、6時間も放置!」と報じました。しかし事実は大淀病院では手に負えず、より高度な病院に転院受け入れをあちこちに打診し続けたものの、結局3時間掛かって国循セに転院が決まったというものでした。18病院に転院要請したとのことでしたが、真夜中(1時半〜4時半)に産科と脳外科・脳神経内科が揃って緊急治療できる病院なんて数えるほどしかなく、受け入れを拒否した病院もそれぞれ満床や緊急治療中の事情があったと思います。当時、小生は阪大病院に勤務していましたが、この毎日新聞の報道の仕方を見て情けなくなりました。どこの一級病院も医者は深夜でも働いています。急患や重症者の治療には昼夜がないからです。医師は夜当直で働いて、また翌朝から晩まで働いていました。特に救命救急を担当する医師たちは月に260時間も働いて、なんとか診療をやりくりしているのです。人手が足りない中でも昼夜頑張っているのに、そこには目を向けず、転院先を確保するのに3時間掛かった結果を見て、「たらい回し」と報道しました。当時は今のようなネットシステムもなく、病院間の連携もまだない時代、必死で転院先を探し回ったことでしょう。
最大の原因の一つには、医者がとにかく足りんのです! 日経新聞が社説で医者の数が少ないのは医師会が医師数を増やしたくないためだと述べていましたが、これは違います。1983年に当時の厚生省保健局長吉村仁氏が発表した「医療費亡国論」の影響が大きいと思います。高齢者が増え続け、やがては医療費と介護費で国の財政は破綻するという趣旨(これは重大なことと思います)ですが、予防医学にシフトすると共に医師は増やすなと述べています。残念ながら超高齢社会到来と共に医療費も介護費も増え続け、病院医師も疲弊しています。これに対し、ようやく医師の働き方改革により来年から医師の時間外労働を年間960時間以内(それでも毎月240時間も働く!これで倒れないのは使命感があるからと思っています)とすることになりました。病院で働く医師にとって少しは楽になるはずですが、その結果、救命救急や重症患者を診る時間数が減ることになります。単に労働時間数を減らすだけなら診療の人手は減り、救急や重症患者の診療が手薄になり兼ねません。厚労省には何か秘策でもあるのでしょうか? マスコミさん、医師を増やすか医師の仕事量を減らすよう報道してよね。