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世界先進国を中心に行われた大規模臨床試験の報告がこの10年で次々と発表されました。
その結果、脳卒中や心臓病の積極的な予防のためには、ひとりひとりの患者さんの病態に合わせた望ましい降圧薬の選択と管理目標値を定め、しっかりと管理すべきであることが判ってきました。
私たち日本人は塩分を多量に摂るため血圧の高い民族であり、そのことが脳卒中の発生率やこれによる死亡率を高くしています。
また私たちの冠動脈疾患(心筋梗塞など)も高血圧症の存在が一番の危険因子とされています(表1)。
高血圧症にはこれといった自覚症状がないため管理をおろそかにしがちですが、少しずつ確実に全身の動脈を蝕んでいきます。自覚症状が出たとすれば、それは脳卒中や心筋梗塞の症状であり、気がつけば腎機能もかなり悪くなっていることもあります。血圧値をどれくらい下げればいいかという議論があります。
表2に福岡県久山町で長年にわたってなされた調査結果を示します。日本の他の地方で行われた調査結果も同様でした。これらの調査結果から血圧値を140/90mmHg くらいまで下げておくのが安全だとされています。もし、糖尿病も合併していたら、理想的な血圧値は130/80mmHg ともっと低くなります。
日本人の各危険因子における 虚血性心疾患発症率 |
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危険因子 | 発症率(オッズ比) |
危険因子なし | 1.00 |
高コレステロール血症 | 1.76 |
高中性脂肪血症 | 2.00 |
高血糖 | 3.40 |
肥満 | 5.04 |
高血圧 | 5.68 |
表1. 企業労働者12万人を対象にした労働省作業関連疾患総合対策研究班調査から。 (Nakamura T,et al: Jpn Clic J. 65.11-17,2001) |
血圧値別にみた脳卒中発症率(対1000人/年) |
表2. 久山町第1集団、60歳以上の男女580名の追跡32年間 (注)血圧値は安静時血圧です。 |
家庭血圧を重要視すべきであることが判っています。特に、家庭での早朝時血圧と就寝時血圧はとても大切な情報です。診療所での血圧がたとえ正常でも早朝時血圧が高いと脳卒中への危険度は上がります。
また「家で測った血圧値が病院のそれと違うから、家の血圧計は狂っている」なんて話を耳にすることがありますが、血圧計測する環境や状況が異なっていますので当然、その値も異なります。家庭血圧は診察室血圧より役に立つ情報が多く、高血圧治療に欠かせないものです。
【早朝時血圧】
朝起床後、排尿後にテーブル前に座って測定
【就寝時血圧】
就寝直前、排尿後にテーブル前に座って測定
いずれも、「パジャマ姿で排尿後」という状況ですね。
血圧測定の場合、測定時刻よりも、測定時の状況が大切です。但し、入浴後1時間以内は血圧が変動しますので、避けてください。
家庭血圧の正常値は、130/80mmHg未満です。意外と低いですね。
基本となる血圧値は「のんびりとした時に測る安静時血圧です。」
めまいした時に、血圧測ったら、170/98mmHgと高かった。どうしたらいい?
一時的な血圧上昇には血圧が上がる理由があるはずです。頭痛やめまいがした時に測る血圧は安静時の血圧ではありませんので、その時の血圧が180/100mmHgを超えていても(脳卒中を疑わせるような)片側の手足の脱力やしびれ、動かしにくさ、呂律の周りにくさが無ければ、まずは心配ありません。水やお茶などを飲んで気持を落ち着かせてください。
食生活の欧米化に伴い、私たちのコレステロール値も上昇し続け、今では欧米人のそれと同じくらいの値となっています。その結果、日本人には少なかった心筋梗塞も、高血圧が原因であった病型から欧米型の心筋梗塞へと移りつつあり、全体的に増えてきています。
このため、脂質とくにLDLコレステロールの管理が重要となってきました。ただ、女性では閉経に伴なう女性ホルモン量の急激な低下でコレステロール値が上昇し、その多くの女性で脂質異常を呈しています。
幸い、日本女性の冠動脈疾患の発症率は男性のそれの1/5以下であり、コレステロール値の管理目標は男女で異なっています。健診でコレステロール値が高かったからという理由だけで薬を処方された女性も見受けられますが、少々治療としては短絡的です。日本動脈硬化学会のガイドラインでは、あくまでコレステロール基準値は努力目標値と記載されており、それ以下でなければいけないものではありません。他の危険因子の有無が重要となります。
高血圧症や糖尿病・脂質異常症などの治療を図る目的は脳卒中や心筋梗塞を予防するためです。管理がうまくいっていないと動脈壁が肥厚し、やがて血管が詰まる原因となります。すなわち動脈硬化が進んできます。この動脈硬化がどこまで進んでいるかを知ることで、脳卒中・心筋梗塞の予防がうまくできているのかどうか判ります。
頸動脈のエコー検査は、僅か10分程度の所要時間でかなり初期の動脈硬化でも発見することができます。
動脈硬化の見られない血管 | 動脈硬化を起こした血管 | 血管狭窄部と血液の流れ |
高血圧症や認知症は加齢とともに増えることが知られていますが、心房細動も加齢とともに増えています。心房細動を起こしたばかりの頃は胸の不快感や動悸で気持ち悪いものですが、慢性化してくると、動悸を自覚しなくなるようです。ただ心房細動は脳卒中の大きな原因となり、放置しておけません。田中角栄さんや長嶋茂雄さんもこの心房細動で重度の脳梗塞(心原性脳塞栓症)を起こしています。
心房細動による脳卒中予防には、心房内に血栓ができないように血液をサラサラにする必要があります。心臓内や静脈内の血栓形成を抑える薬を抗凝固薬と呼びます。これまではワルファリンのみが使われていましたが、薬量管理が難しく、また納豆や緑色野菜を食べられないのが欠点でした。数年前から安全で薬量の調整や食事制限の不要な新薬(NOAC)が次々と発表され、脳卒中予防治療法が大きく進歩しました。ちょっと価格が高いのが難点です。
心房細動は認知症にも悪影響を起こすと報告されています。2014年には、ワルファリンを服用することで心房細動による認知機能の低下を抑制したとも報告されました。
まだまだ心房細動を呈していても治療を受けていない方々も多くおられます。脳卒中と認知症の予防のために是非、治療を受けてください。